日本の「生涯未婚率」は、男性で20%を超え、これからもどんどん増えていくと思われます。
当然ながら「結婚だけがカップルのあり方ではない」という意見もありますし、尊重されてしかるべきだと思います。
例えばフランスなどでは、法律婚をせずに、婚外子を作るカップルが多く、それで出生率は高くなっています。
しかし、このような形態は「自由」の意識が根付いたフランスだからこそ成り立つものであり、少なくとも日本という国では成り立たないものだらけです。
また、フランスにはフランスならではの問題も多くあります。
この記事では、日本という国において、「結婚することのメリットとデメリット」を述べていきます。
先に結論を言うなら、やはり結婚はできるだけしたほうがいいです!
努力して、結婚できるように頑張るべきです!
それでは、まず結婚のメリットから述べていきます。
結婚や出産に付いてくる税務優遇措置や社会保障
結婚すると、税金の「控除」などが受けられて、ようは税金をあまり払わずに済みます。また、結婚しているからこそ受けれる社会保障があります。
これらは、有り体に言ってしまうと、国が結婚している家庭を支援しようとする制度です。
国家の側からすると、次の世代の子供を産んでくれる家庭は、大切なものであり、守っていく必要があるからです。
具体的には
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 給与所得控除
- 第三号被保険者
- 「結婚・妊娠・出産・育児」を目的とする贈与税の非課税化
- 出産手当金
- 育児休業給付金
などです。
「お金の面」では、結婚にはほとんどメリットしかないと思われます。
「社会」に認められるための儀式
結婚式は、個人だけではなく、お互いの親戚を呼んで行いますよね。
結婚というのは、お互いの絆を深めるというよりもむしろ、「この二人は夫婦になったのだ」ということを、その周囲の人に知らせるために行なうものなのです。
「結婚」は、非常に古くから続く原始的な制度であり、一対の男女が子供を為すという人間の仕組みが根底にあります。
近年の「リベラル(自由)」思想は、「結婚なんてしなくてもいい」という自由を打ち出し、実際に結婚する人の数を減らしましたが、「それを信じて結婚しなかった人」に何らかの保証を与えてくれるわけではありません。
結局のところ、人間は自分が思っているほど賢くも自由でもなく、多くの場合、「結婚」というステップを踏んで、それを周囲に認められなければ、その後は非常に生きづらい人生が待っているのです。
人は「結婚」することを求められる
普通に生きていても、年齢を重ねるほど「結婚してないの?」「結婚しないの?」という周囲の圧力を、(実際に直接口に出されないとはいえ)感じるようになります。
そして、結婚できずに40代、50代をむかえると、「あ、この人は結婚できなかったんだな」という括りになってしまいます。
「周囲からどう思われても別いい」と考えられるなら、それでもいいかもしれません。
しかし、社会からの無言の圧力というのは、思っている以上にキツいものがあります。
婚姻率が下がれば、それだけ結婚していない人も増えていくから、段々と「結婚していない人が認められる社会」になっていくのではないか……そう思っている人もいるかもしれません。しかしそれは、あまりにも甘い見通しだと、私は思います。
少子化は様々な社会の問題や軋轢を産み、その結果として、「結婚していない人間は無責任」という風潮が高まってくことも十分に考えられます。
今の労働者世代が団塊の世代を憎むように、将来の、「結婚した親」から産まれた若者世代は、結婚もせずに国家の保証にすがって生きる人を恨むかもしれません。
婚外子や片親の子供は日本では生きづらい
日本は、「家族」を優遇する国であり、そのレールから外れた人への保証は手薄いという問題があります。
現に、ひとり親家庭の2人に1人以上が、貧困に直面しているのです。
平均年収181万円! 貧困率54.6%にのぼるひとり親家庭が直面している現実とは
これは大きな問題であり、是正されて然るべきでしょう。
しかし、社会的な偏見や制度的な冷遇が、現状である以上は、「フランスと同じように婚外子で育てよう」というのは、なかなか難しいであろうと思います。
当然ながら、何らかの理由によってひとり親になってしまう家庭は当たり前のように存在します。
そのような家庭への支援や制度設計は急務です。
結婚すると自由ではなくなる
次に、結婚することのデメリットを挙げたいと思います。
制度や社会的認知の面では、優遇される部分が多い「結婚」という制度ですが、それゆえに個人の自由を奪います。
例えば、口約束の「カップル」の場合、浮気をしても罪にはなりません。
一方で、結婚している男女の場合、どちらかが浮気をすれば、ほぼ確実に慰謝料を支払う必要が産まれます。
また、仮に相手側に落ち度があって離婚した場合でさえ、子供がいた場合は、子供の養育費を払い続けなければなりません。
結婚することで、自由が制限され、責任が生まれるのです。
「家庭」が地獄になることも
結婚して作る「家庭」は、開かれた場所ではなく、閉じられた空間です。
外面がいい夫が、実はDV(ドメスティックバイオレンス)男だったという話も聞きますが、「家庭」という場所に閉じられているが故に生まれる苦しみも存在します。
また、結婚した二人だけではなく、姑や親戚などもその内側の空間に入ってくる場合があります。
多くの人に気苦労があるでしょうし、運が悪い場合、それは地獄になります。
それでも結婚をするべき理由
それでも結婚をするべきと私が勧める理由は、単純で、それは「人間は自分だけで生きられるように出来ていない」ということです。
自分自身の意志で、あるいは自分自身の満足度だけで生きていけるようには、人間はできていないのです。
結婚の悪い部分や、結婚して満足度が下がったエピソードは、いくらでも挙げることができるかもしれません。そして、合理的な判断として、「結婚すると損だな」と考えてしまう人もいます。
しかし、その時その時点での損得感情の判断など、これから長く続いていく茫漠とした時間の寂しさに比べれば、ほんのカスのようなものなのです。
理性や思考力は、人間の重要な能力のうちの一つであることは間違いありません。
一方で、長い時間に裏打ちされた「結婚」という制度は、人間が種の単位で培ってきた「知恵」です。
あえて先進的に結婚を否定してみせる人がいるのは理解できますが、一般的な人が「結婚できない」などということはことはあってはなりません。
かつての「リベラル」と言われるような人たちは、結婚を否定し、人々を孤独に駆り立てましたが、その結果として孤独になってしまった人たちに対して、彼らは何一つ手を差し伸べませんでした。
そのような、「自由」の欺瞞と難しさが、だんだん明らかになっていきました。
実際に、世界的な流れとしても、「やはり結婚は重要」ということになってきています。
LGBTの権利を保証するために、同性婚を認めるという流れも、その一つでしょう。
結婚は努力して目指すもの
もちろん、漠然と「結婚したいなあ」と思っている方は多いと思います。
違うのです! 生涯を共にしたいと思える相手なんて普通は見つかりません。
仕事と同じように努力して、頑張って最低限の結婚相手を探すのです!
「結婚するもしないも自由だ」と言う人がいるし、たしかにその通りです。だから多くの人が、結婚しない方向に、楽なほうに逃げてしまいます。
だからこそ、「結婚できない人はその後で悲惨になる可能性が高い」と、私はあえて主張します。
「結婚」に対する圧力があった時代は、みんな不満を持ちながらも頑張って結婚していましたが、それはある意味では親切だったのです。
もちろん事情があって結婚できない人はたくさんいます。
しかし、何者にもなれない、ごく一般的な大多数の人たちは、一生懸命努力して、結婚をするべきなのです。
いい記事ですね