日本の離婚率はものすごく高いです。
統計によると、愛を誓いあったはずの夫婦の、およそ3組に1組が離婚するのです。
厚生労働省が発表した「平成27年の人口動態統計の概況」によると、婚姻件数は「63万5156組」で、離婚件数は「22万6215組」でした。
このデータによると、結婚した日本人の3人に1人以上の夫婦が離婚する計算になります。(人口減少なども考えるなら、これよりもやや少なく見積もられる可能性はありますが、いずれにしても高い数値であることは間違いないです。)
日本では、なかなか結婚できない上に、もし仮に結婚したとしても3人に1人は離婚してしまうのです。
これはかなりヤバい事態に見えます。
「結婚して子供を産む」という価値観自体が破綻しそうになっているのかもしれません。
離婚率は増え続けている?
以下のグラフは、厚生労働省の「離婚件数の年次推移」から引用しました。

日本人の離婚率は、60年代の後半から緩やかに上がり始め、2000年代の前半にピークを迎えています。(その後は緩やかに下がってきています。)
経済が発展し、自由恋愛の価値観が当たり前になるにつれて、離婚率は急増していっているのです。
人は、選択肢が多いと、一箇所にとどまって我慢できなくなる傾向があるみたいです。
離婚率が高いのは日本だけではない
ちなみに、離婚率が高いのは日本だけではありません。世界にはもっと離婚率の高い国があります。
離婚率の高い国ランキングは
- 1位 ロシア
- 2位 アメリカ
- 3位 イギリス
です。
ロシアでは結婚したカップルの2組に1組以上、アメリカでは2組に1人ほどが離婚しています。
「3組に1組」の日本はまだマシなほうです。
世界的に見ても、「結婚」という制度は、すでに破綻しているのかもしれません。
しかも恐ろしいことに、女性の権利が認められた国ほど離婚率が高くなっています。
男女平等が進んでいない国よりも、男女平等が進んだ国のほうが離婚率が基本的には高いのです。
離婚率が高まることの問題点
もともと女性は結婚なんてしたくなかったのだ。女性が無理に結婚しなくても良く、好きなときに離婚してもいい社会になったのだから、これは素晴らしいことなのだ、という意見もあると思います。
これは一面では正しいです。
一方で、その価値観が継続的なものなのかどうかは、よく考えてみる必要があると思います。
人口の再生産ができない共同体は滅びます。
今は少子化が進んでいて、結果を見れば、これからどんどん衰退が進んでいくということになります。
「結婚しなくていいのは素晴らしいことだ!」という言説は、かつての結婚しなければならなかった人たちの遺産を食いつぶしながら主張されていることなのです。
「やっぱり結婚っていいよね」という価値観が強まり始めている
近年は、若年層の恋愛・結婚に関する意識が高まり始めていると言われていますが、上の世代への反動で、「やっぱり結婚するって大事だね」というふうに風向きが変わり始めています。
実際に、厚生労働省の離婚率の年次推移を見ても、離婚率は減少の傾向を見せつつあります。
「結婚なんてしなくていいから自分らしい生き方を探るべきだ」という価値観は2000年代がピークで、10年代からは「やっぱり結婚したい!」という考え方に変わってきているのです。
これは、知恵や文化を次世代に引き継がなければならないという人間の仕組みを考えれば、まったく無理のないことだと思います。
「結婚」を否定しつつ少子化を改善する方法はあるか?
だんだん結婚の価値が再評価されつつあるとは言え、やはりまだまだ離婚率は高いですし、結婚できない人も多くいます。
これからは、「結婚して出産する」という以外のモデルを模索するべきなのでしょうか?
乱婚などの形態をとってきた人類もいますが、現存する圧倒的に大多数の人類は、男女が「結婚」して子供を作る、という形態を一様にとっています。
結婚せずに次世代を作ってきた人類も存在したでしょうが、それは何だかんだでうまくいかなくて、そのような集団は現在ではほとんど存在しなくなってしまっています。
「結婚」は、人類が長い試行錯誤の上に作り上げてきた「制度」です。
今「結婚」という制度が破綻しているように見えても、だからと言って「結婚」を否定するのは、あまり賢い選択とは言えなさそうです。
地道に婚姻率を上げていくしかなさそう
出生率は低下していますが、結婚した夫婦が子供を産まなくなっているというわけではありません。
少子化のほとんどの原因は、結婚できない男女が増えたからです。
少子化改善のためには、結婚できる人を地道に増やしていくしかなさそうです。
離婚する人が多いからといって、「結婚」という制度がダメだとか、そういうわけではないと考えたほうがいいでしょう。
実は、今よりもっと気軽に結婚して、合わなかったらすぐに離婚してしまう、というくらいがいいのかもしれません。
現に、約半分の夫婦が離婚するアメリカは、先進国の中で最も出生率が高い国です。
「結婚」という制度は尊重しつつも、「結婚」や「離婚」をそれほど重く考えない、というのは一つの解決策と言えるかもしれません。
最終的には、結婚するのも離婚するのも個人の自由であり、どんな選択も尊重されるべきです。
次世代に負担を残さないよう出生率を維持しながら、個人が自由に生き生きと暮らせるような社会を模索していくのが理想だと思います。
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